マーシュ・マクレナンの協力のもと世界経済フォーラムが発行した「グローバルリスク報告書2022」は、COVID-19後の復興において、複数の領域で起きているグローバルな相違が、いかに格差を拡大し、社会の亀裂を悪化させる恐れがあるかを検証しています。
第17版となる本報告書では、世界中の950人以上の専門家やリーダー層への調査・見識に基づいた考察を行っています。パンデミックの連鎖的影響の悪化や気候変動対策の強化、デジタルセーフティの強化、生活と社会の結束の回復、宇宙での競争のマネジメントといった共通の課題に取り組むにあたり必要な調整を複雑にしかねない、世界的に非常に重要な緊張関係をいくつか取り上げています。また、パンデミックの2年目から得た教訓をもとに、国や組織のレジリエンスを高めるための考察を述べています。
ワクチン接種の進捗に格差があるため、経済回復にばらつきが生じ、既存の社会的断絶や地政学的緊張を悪化させる危険性があります。このような緊張とパンデミックの経済的な重圧により、グローバルな課題に対して協調的で迅速なアプローチを行うことが困難になっています。
急速な気候変動への確信が高まる一方で、社会的、政治的、経済的な複雑さによって対策は遅れをとっており、その間にも、それぞれ異なるスピードと複雑さを持つネットゼロの軌道が万華鏡のように広がっていくリスクがあります。 さまざまな側面での無秩序な気候変動への対応は、経済的な不安定さを引き起こし、未知の影響を伴うテストされていないテクノロジーの採用を早め、国や社会をさらに分裂させる可能性があります。
「非自発的な移住」の問題は、移住先国での経済保護主義の高まりとぶつかっています。通常の移動リスクに対する制約が、世界の安全保障を悪化させ、経済成長と安定を妨げ、人道危機を悪化させ、国際緊張を悪化させ、人々の間に移民懐疑論と社会不安をあおっているのです。
新型コロナウィルス感染症のパンデミックによって、組織がレジリエンスを高めるためにできることや、戦略をどのように活用すべきか明確になったと言えるでしょう。さらに、政府、企業、地域社会が、社会全体を対象としたアプローチを追求することで、目前に迫っ ているさまざまな種類の危機に対する国家としての準備体制を向上させることができます。